しるべにねがうは

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友達

「お嬢って友達少なそうだよな」
「開口1番に失礼がすぎますわよ」
「いるの?いないの?」
「今の学校にしてもそのうち変わりますしコミュニケーションをとる必要性を感じませんわ」
「いらないの?できないの?」
「笹本も石蕗もいますし人間関係を全く築けていない訳ではないので。同年代の同業者って少ないですし少ない方が良いですし」
「家のお手伝いさんと世話係は友達にカウントしないんだぜ」
「む、無理に作らなくてもそれだけが人生じゃないって、矢車殿が…」

柳谷邸。日夜この世ならざるものと相対する祓邪組織、白咲を支援する柳谷家の持ち物。ここはそういう事件に巻き込まれて、日常に帰る術を失った子供の受け皿をしている。
要は見習い育成所。見習いは俺、尾上蓮。ここから定時制の学校に通ってる。リモートも可能。ありがとう。
見習いがもう1人。柳谷の本家直系のお嬢、柳谷柳子。
お嬢の世話係の石蕗さん、家の業務と管理を笹本さん。
あと時々仕事と仕事の合間に休憩に寄る人がちらほら。
付き合いの長さでお嬢に甘い大人がほとんどである。

「尾上君、お嬢様をいじめるのはやめてください。お嬢様は友達がいないので」
「いなくないです!!雨君と錦ちゃんが友達です!」
「人間の友達の話してんだけどな今」

庭の池に住んでる牛蛙と錦鯉を引き合いに出すな。

「友情に種族は関係ありませんよ」
「そこにあるの友情?飯奴隷じゃないの?」
「ううう、お、尾上君だってどうなんですの、友達いるんですか!?」
「俺同じクラスのやつと連絡取り合ってるし今度遊びに行くもん」
「初耳ですけど!?外出なら言ってください」
「なんでだよ面倒臭い」
「君が外出した先で事件に巻き込まれない訳ないです、予定すり合わせて厳戒態勢をとらねば…石蕗、笹本」
「とりあえず発信機と通信機を渡しますので」
「どこに行くかは教えてください、ドローンで追跡しますが近場で待機します」
「冗談で終われば良いんですけど、貴方の場合友達が真人間であるかどうかも疑ったほうがいいですからね……見過ごした自分が憎い……」
「真人間だし普通の友達だわ!!最新のプリ撮ってくるんだよ」
「女子高生みたいなはしゃぎ方しますね」
「駅前のゲーセンに新しいプライズはいったからな……絶対取ってくる」
「とりあえず半径五メートル圏内に私たち待機しますね」
「なんかあったら頼むわ、ないと思うけど」
「それが一番ですからねぇ」

当日

「宗教の勧誘と投資とマルチ商法をそれぞれプレゼンしてきて地獄だった」
「人間が一番面倒だったパターンでしたか…」
「プライズ取れたからやるよ……」
「やった、ありがとうございます」
「……友情に種族関係ないよな……」
「応援してますわよ」
「うん……」

10/26/2024, 2:59:47 AM