たまごぱんおにぎり

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   太陽の下で

 嫌なことがあった。だから逃げた。
 よくないことほど頭の中で繰り返されてしまう。目のまわりにじわじわと何かが溜まってくるのを感じて、思わず君のいる教室に飛び込んだ。
「なに、どうしたんだーい。」
 そうおちゃらけて笑う君は、何よりもあたたかかった。
 もう放課後で、自習用に開放されてはいるが、人もまばらな教室。窓際にいる君の足元にしゃがみ込んで、涙が頬へ流れるのを感じる。
「えぇ?……撫でてあげよっか?」
 さらさらと、不器用な手つきで髪を撫でてくる。自分の手より遥かにあたたかい温もりが伝わる。泣いている友達の頭を撫でる、って、どうなんだろうか。普通、背中をさするとかじゃないのか。
「ふはっ」
 泣いてる人の慰め方も、君へのこの感情も、何もかも、君は知らないんだと思うと、面白くて仕方がない。堪えきれずに吹き出すと、「おい、笑うな!」と君は怒った。

11/25/2024, 12:01:35 PM