うずき

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《1年前》

私は“そのお墓”に手を合わせていた。
「最近、行けなくなっちゃってごめん…すごい久しぶりだよね」
そんなことを言いながら墓石をタオルで拭く。
「私…さ、今も頑張ってるよ。あなたのこと、全然忘れられないけど」
「…そんな愚痴言っててもしょうがないよね…」
すぐ近くのスーパーで買ってきた花を供え、コップにお茶を注いだ。
「あ…お茶じゃないほうがいいかな?あなた、ジュースとか好きだったもんね」
私は鞄をゴソゴソと漁るが…ジュースはなかった。
「ごめん…お茶しかないや」
そして、線香と蝋燭も供えた。
「さて、読みますか」
お経をいつも通り読んだ。あなたがいなくなる前は全く知らなかったのに、もう覚えちゃったよ。

…一通りお経を読み終わった後、お茶を墓石にかけてやった。
「次はジュース持ってくるからね…」

今日は…彼が亡くなって丁度1年。私の彼への想いは消える様子がない。

6/16/2024, 2:19:10 PM