瑪瑙

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僕の頬に溢れる涙が枯れたのはいつだっただろうか。
いつかは感動したとき、嬉しかったとき、悲しいとき、涙を流していたのに。
僕の涙が枯れたのは、あの時だろうな。
絶望で前が見えなくなったあの時。
毎日毎日泣くしかなかったあの日々。
ついには涙さえ枯れて、僕は感情の表し方を忘れた。
神様は僕から涙さえ奪っていくんだ。
そう思った。
事実、そうだったから。
僕には何も残されなかった。
心が動かされることも無くなった。
かつて涙していた出来事でも僕の心は動かない。
感動したとき、嬉しいとき、悲しいとき。
そんなものはなくなった。
今の僕には無しかない。
涙どうこうじゃない。何もないんだ。

ああ、
僕には何も残されていないと思えば少しは目が潤む。
もう少し、僕に絶望をくれ。
そうすれば、涙だけは戻ってきてくれる。
神様は絶望すら与えてくれないんだろうか。

今、頬を流れたのは涙だったのか、雨だったのか。
前が見えない。溢れ出す何かが邪魔をする。

7/26/2025, 3:41:20 PM