大空
あの子と私は両手の親指と人差し指で
四角を作って上にかざした
囲われた指の中には
青いキャンバスが生まれ、
隅っこに隠れていた白い絵の具は
ゆっくりと少しずつ溶け出して
何かの造形物になった
あの子はそれを見て誇らしげだが
私は何故かそんな気持ちにはならなかった
きっとあの子ならそれが何か
知っているに違いない
と思った私は正体を聞こうとした矢先、
あの子は指を離してしまった
途端、造形物は再び液状になり
キャンバスは消えた
「あー楽しかった!」
あの子の嬉しそうな声とは裏腹に
私は指を離せずに震えていた
12/21/2022, 12:01:50 PM