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秋風

秋は風が寒く、陽は暖かい。
この季節が来ると、じんわり感じるものがある。
涼しそうな緑が多かった木や草は暖かい黄色になる。
人々も涼し気な服から暖かい服になる。

爽やかで青かった空は美味しそうなオレンジ色になるし、
深海のような紺色の影はカラスみたいな真っ暗な影になる。

地球は四季によって姿を変えて、人々を楽しませる。

冷たい食べ物は温かい食べ物になる。
日焼け対策の上着は寒さ対策の上着になる。
オシャレで履いてたミニスカートも、秋になれば寒そうに見えてしまう。

そんなボクは秋は好きだ。

秋は何かを思い出し、忘れていく季節に感じる。
冷たい秋風を感じると、寂しい気持ちになる。
けど、暖かい日向を感じると、寂しい心が満ちていく。

秋になると、いろんな物が目に映る。
それがなんだか懐かしく感じることがある。
でも、それはどの季節もそうであって、春でも夏でも冬でも感じることはある。しかし、その思い出を思い返す時間は一瞬で、これがふと思い出し、何十年も前のことを最近のことのように思い出す時がある。それが、秋だと感じる。

ボクの中で、春夏冬は忙しく感じる。
春は新しい生活、夏は熱いのに沢山イベントがあって、冬は年の終りと始まり。

その中で、秋は唯一落ち着く季節だと思った。

春からやっていた沢山のやることも、やるべき事も一通り終えて、やっと落ち着けるな、と思えることがボクの中では必ず一年に一回はあった。

その日にたまたまやることを終えて、やっと落ち着いた日があって、その日にたまたま秋の冷たい風、オレンジ色の夕日にカラスのような真っ暗な影、その中で寒そうにして暖かい服を着ながら暖かい食べ物を食べてる人たち、暖かい姿になった植物たちが秋風に揺られながら、秋の虫たちも秋の音楽を奏でる。

それを聞きながら、風が寒い中で暖かい飲み物や食べ物を飲み食いしながら、普段は音楽を聴いているイヤホンを外して、普段は早く家に帰りたいと思っていた足をゆっくりゆっくり歩かせて、だんだん更に寒くなり、暗くなる外の街灯は人の暖かい明るい声が灯りとなり、ボクはその下を歩く黒猫の気分でだんだん歩くのを早くする。

気づけば家に着いて、家に帰って温かいお風呂と暖かい部屋、秋の美味しい食べ物を食べて、お腹いっぱいになって寝ると、心地よい眠りができる。
このような五感で秋を感じると、ボクは秋が来たな、って思う。

そして、冬が来ることも感じる。
そうすれば、秋はまた来年に感じる。
季節は、そうやってできている。
地球も、そうやってできている。
人も、そうやってできている。

ボクも、そういう生き方で楽しんでいる。

次は、どんな秋風を感じるかな?

11/14/2024, 11:49:48 AM