「ここ、毎年あじさいがきれいに咲くんだ。」
ほんとだ。このへんはあまり散歩に来ないから気付かなかった。色も形も絵のようにきれいだ。
「くっきり色付いてきれい。今まで淡い色のものしか見たことなかった。」
「うん、俺も。こんなにきれいなものは他で見たことないよ。」
蒸し暑いのは苦手だけど雨とあじさいは好きだ。あと、
「かたつむり。ちょっと気持ち悪いけど。」
「…う、うん。ちょっと…ね。ちょっと…。」
「あ、ごめん。虫とかだめだったね…。」
「いや!ぜんぜん!だいじょぶ!ぜーんぜん!」
無理しないで。いいんだよ。男のくせにとか関係ないよ。
「あ!そうそう、白いあじさいって見たことある?」
「え…うーん…。ない、かも。」
青、ピンク、むらさき、うすい緑…?あれが白?うん?わからない…。
「そっか。今度探してくるよ。真っ白なあじさい。うちに飾ろうよ。切り花ならかたつむりもいないし。」
「うん。見てみたい。」
「そういえばあじさいの花言葉ってなんだろ。」
「ええと、たしか移り気とか浮気…。」
「やっぱやめよう!」
「ただの花言葉…。」
「それでも!」
「うーん…。」
真っ白なあじさい。うちに来てほしかった。
6月にぴったりの花と色だったから。
「花言葉なんてたくさんある。あじさいも仲良し、とか家族団らんの意味だってあるぞ。」
「そっか!よかったー…じゃあそれください!」
「少し静かにしてくれ…。」
先に家で待つ君へのプレゼント。君とまた少し仲良しになれるきっかけになるだろうか。
「…あ、この小さいぬいぐるみ…馬?きりん?」
「ああ、そいつは…」
「ふふ、うさぎですよ。自信作です。」
「?!」
あじさい
6/14/2024, 3:07:04 PM