小絲さなこ

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「あの子のいちばん」


ひとり教室の隅で本を読んでいたあの子に声をかけたのは、時々見せる横顔が寂しそうだったから。

はじめは遠慮していたけど、だんだんと心を開いてくれて、それがとても嬉しかった。

一見おとなしいけど、将来の夢に向かって努力していたり、実は曲がったことが嫌いだったり……

あの子のいいところを一番知ってるのは私──そう思っていたんだ、と気づく。


「誰にも言わないから」
約束して明かした、好きなひと。
応援して、励まして、男友達も巻き込んで、あの子の初恋が実ったあとに残ったのは、ほんの少しの寂しさ。

友達をやめたわけではなくて、むしろ一番の友達だと、これからもずっと友達でいてほしいと言われた。
嬉しかったけれど、あの子の一番は、私がよかった。


────寂しさ

12/20/2024, 6:50:17 AM