ゆらゆらと光が揺れている。廃工場の汚い床に寝そべって、ガラスが張られた天井を見つめていた。火事で全焼したくせに、奇跡的にガラスだけは残っていて。熱で溶けて、ぐにゃりと歪んだガラスは、光を奇妙に反射させて、床や壁、真っ黒なカタマリを照らし出す。ゆらゆら。ゆらゆら。まるで、水の中にいるみたいだ。水底に沈んで、届くはずもない地上に思いを馳せる。静かな、とても静かな海。
1/21/2023, 2:26:26 AM