クリスマスノーム、ノーミスノーマーク、
デス/ートにミラーレスノーファインダー。
お題は「Snow」ではなく「スノー」らしいので、
重箱のスミを突っついては破壊する物書きです。
今回ご紹介するおはなしは、言葉を話すハムスターがお題回収役。
世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織に勤務する、ムクドリというビジネスネームを貸与された、
不思議な不思議なハムと、歯のおはなしです。
「ノーティース!ノーライフ!」
昔々、だいたいそろそろ1年にもなるでしょうか、
とっとこムクドリは、ハムスターの本能として、固い木をカジカジ爆速で噛んでいました。
「僕たちハムスターは!永久に!伸び続ける自分の歯と付き合いながら生きるのが運命!」
カリカリカリ、かりかりかりかり!
噛み心地も強度も丁度良いその木は、ムクドリのお気に入り。どんどん跡が付いていきました。
「もっと、もっと、もっとだ!」
ノーティースノーライフ!
ノーティースノーライフ!
健康健全な歯なくしてハム生なし!
とっとこムクドリはもうご機嫌。
思う存分、ハムスターの本能を発揮しました。
「はぁッ なんて噛み心地の良い木だろう」
ところでとっとこムクドリ、
木を噛んでる場所が都内某所、本物の魔女が店主をしておる喫茶店で
噛んでる木がその喫茶店のバチクソ高価なアンティークテーブルだったのですが、
ノーティースノーライフ、そのひと噛みでいったい全体おいくら万円の被害なのでしょう??
「ああ、ああ、ああ!素晴らしい木材!
もっともっともっと……もっと?」
「見つけたわよ、ムクドリ」
ぷにゅっ!
魔女の喫茶店のアンティーク家具を齧っておったとっとこムクドリは、
とうとう、店主の魔女に見つかって、背中をつまみ上げられ、捕獲されてしまいました。
「はなせ。はなせっ」
「あなた、これで今月何度目だと思っているの」
「仕方無いだろ!ノーティースノーライフ!
僕たちは何か齧らないと、生きていけないんだぞ」
「場所をちゃんと考えなさい」
次に見つけたら容赦しないわよ。
魔女はそう言って、ムクドリをポイ。
喫茶店の外に放り出してしまいました。
「ちぇっ!ケチ!」
ノーティースノーライフ!
ノーティースノーライフ!
健康健全な歯なくしてハム生なし!
とっとこムクドリは大抗議。
だけどその日は、もう店主に犯行がバレました。
さすがにもう入店できません。
「仕方無い。今日は、別の場所を探すか」
ととととと、トタタタタ。
とっとこムクドリが喫茶店から、名残惜しそうにせわしなく、小さな歩幅で離れてゆきます。
「彼女のお店、本当によく厳選された良い木ばっかりだから、噛んでて気持ち良いのになぁ……」
ノーティースノーライフな、とっとこムクドリのおはなしでした。
その後、何日後か何週間後か分かりませんが、
最終的にムクドリは、魔女の怒りを買いまして、
あーなって、こーなって、ごにょごにょ。
その先はお題の範囲外なので、ナイショナイショなのでした。 おしまい、おしまい。
12/13/2025, 9:58:20 AM