彗皨

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「空に触れてごらん。」
叔父さんが言う。
「触れる、?」
「そう。触れる。」
「でも、空は触れないってお母さんとか先生が言ってたよ?」
「笑笑、確かに空は触れないね。」
「じゃあ、どういうこと?」
「うーん、こういうことかな。」
おじさんが空に手をかぶせて私に言った。
「、?でもそれじゃあ触れないよ?」
「ーーっ」
おじさんが大きく深呼吸をした。
「触れてる。心で。」
「心で?」
「うん、今こうして触れてる。」

私も空に手をかぶせた。
「……」
心で、感じる…

なんだか手がだんだん空色に染まっていくように感じた。
まるで、触れてないのに触れてるような。
暖かい青にのみ込まれて、心までもが浄化されていくような。
そんな気がした。

「…触れたかな?」
「…うん 触れたよ」

“空を見上げて心に浮かんだこと”

7/16/2023, 7:24:24 PM