月夜野 さんぽ

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はなればなれ

「生き別れた家族がいます。」

そう聴いたとき、あなたはどう思うだろうか。
優しい人は、同情するだろうな。
だとすれば、僕はこの世で1番優しくない。

昔、両親と妹と僕の4人家族だった。
とは言っても、父は単身赴任で、休日に顔を合わせる程度だったが。
僕が小学3年生の頃に、両親が離婚した。
原因は、父の不倫だった。
僕は母と2人で暮らすことになり、父は妹を連れて家を出ていった。
僕の生き別れた家族は、妹である。

妹は6つ下だ。当時3、4歳だろうか。
しかし、僕が記憶している彼女の最後の姿は、幼児だ。

彼女は障がい者だった。
ダウン症。健全に成長することが出来ない。
父が妹を連れていった理由なんて、大人になった僕はもう言われなくても分かる。


父とは本当に偶に、会うことがある。
妹の近況も、少しだけ聞いている。
会いたいと切り出せば、会わせてくれるだろう。

でも言えない。

言いたくない。

知りたくない。

知られたくない。


きっと、僕はこの世で1番ずるい。


11/16/2024, 3:37:08 PM