ああ、悔しい、悔しい!
こんなにも熱く、本気になれていただなんて。
自分でも気づかぬうちに、ちゃんと「負けたくない」と思えていたんだ。
とはいえ、あんなのを見せられてはダメだろう。
ああやって真っ直ぐ前を見据える姿は、ひねくれ者の己からするとちょっぴり眩しすぎる。
そう感じる故に、この結果が出るまで自らの何かを見誤っていたのが惜しくもなった。
なにか、まだ出来ることがあったのだろうか。
込み上げる“もしも”に視界の揺らぎを得て、慌てて天を仰いだ。
憎らしいほど澄んだ青空が、目の奥にしみる。
こういう時くらい、少しは曇ってくれていたっていいじゃないか。
穏やかな風で移ろいでいく白を見つけて、今さら抱いた恨めしさをぶつけるようにキッと睨みつけた。
──それなのに、何故。
こうも完膚なきまでの敗北だったはずが、どうして心は晴れやかで、ぽっかりと抉れた喪失感を等しく悲しんでいるのだろう。
【ところにより雨】
3/24/2024, 1:10:06 PM