鵜蛙

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暗い絹糸で何層にも重なったベールに向かって車を走らせる
街灯もない山道を超え、トンネルに入る
腐れ縁が突然家に訪れ、連れられた
言葉を組み合わすでもなく、車を走らせる

トンネル照明を爪に反射させ、雨にして遊ぶ
どうせなんかあったんだろ
昔からなんかあれば俺の事情は構わず連れられる
トンネルは長く窓を見てもコンクリの壁だけ
棒人間もジャンプしがいが無い

グローブボックスへ乱雑に押し込まれた煙草箱を取り、火をつける
窓を開け、少し冷え込んだ空気が煙草火を燃やす
まだ出口は見えず、トンネルはまだ



「夜明けの先」

9/13/2024, 6:41:02 PM