語り部シルヴァ

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『最後の声』

『俺、必ず帰ってくるから!』
『うん、私待ってる...!』

それが最後の電話になってしまった。
戦争が始まったこの国で兵に選ばれ、
勝って帰ってくると言った矢先に恋人が死んでしまった
と知らせを受けた。

まだ戦争中だっていうのに...
お互い生き延びてまた会おうって言ったのに...
もう生きる気力も失った...
恋人に会いに行ってもいいのかもしれない...

戦闘区域に手ぶらで突っ込もうとする。
『生きてくれ。俺の分まで幸せになるために...』
どこかから恋人の声が聞こえた気がした。
もう一度聞こうとしても激しい銃撃音が
飛び交う音しか聞こえなかった。

本当の最後の声を聞いた私は何としても生き残ってやる。
そう決意して安全な場所へと走り出した。

語り部シルヴァ

6/26/2025, 10:41:02 AM