まにこ

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名前を何度も呼ばれる。
それはあまりにも熱っぽく、情愛と悲哀が綯い交ぜになった声色で。
応えたいのに俺はお前の名前を呼ぶことができない。
知らない筈なのに、何故お前は俺のことを知っている。
今できるのは打ち付けられる熱杭に只管喘ぐことだけ。
包帯で腐った身体をぐるぐる巻きにしている醜い化け物なのに、涙が止まらない。
「嗚呼、逃げないでおくれ」
弱々しく放たれる言葉と荒々しい行動とが不一致なまま、俺はこの茹だるような時間をやり過ごすしかなかった。

2/20/2025, 1:12:41 AM