『…お前、本当は俺の事好きじゃないだろ』
恋人が待つ家に帰り、真っ先に飛び込んできた言葉。
俺は思わず言葉を失った。
そう言い放った彼の目は怒っているようで、
どこか寂しげで。
『最近俺以外の奴とずっと一緒じゃんかお前』
戸惑う俺なんてお構い無しに続ける。
確かにここ最近、
俺だけ友達と遊びに行ってしまうことが続いてた。
…と言っても、家に帰ればずっと一緒なのだけど。
そんな言葉は、生唾と一緒に飲み込んで。
「ごめん。俺が悪かったよ。でも、俺が好きなのは
お前だけだよ」
『…そういうことじゃない』
そう言うと彼は自室に籠ってしまった。
静寂に包まれた部屋に、俺だけが取り残された。
頭が真っ白になった。
大好きな彼に嫌われてしまった。
俺のせいで。俺が自分勝手だったばかりに。
不意にスマホが鳴る。
画面に目を落とせば彼からのメッセージ。
時計を見ればもう何十分も経過していた。
画面にはこう書かれていた。
『ごめん。さすがに言いすぎた』
〜静寂に包まれた部屋〜
9/30/2022, 10:13:14 AM