妄想

Open App

『まだ見ぬ景色』と同じ人物で逆視点です。
良ければそちらも読んでみてください( ᵕ ᵕ )
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

『あなたのもとへ』

「あなたが待っていてくれるなら、私は必ずあなたのもとへ帰りましょう。」

「ふふ、それじゃあ私は何があっても待っててあげないとね。」

君とした約束だ。



身体が重たい。
寒い。

「…早く帰らないと」

彼女は無事だろうか。

早くあなたに会いたい。
頑張った僕をいつものように抱きしめて、
温めて欲しい。
あともう少しで会える。
血が足りないのか視界が霞む。
もうすぐそこだ。あと少し…


君は約束の場所にちゃんと居た。
良かった…怪我はなさそうだ。
彼女は倒れそうになった僕を受け止めたが、
支えきれなかったのかずるずると地面に座った。
そして膝枕のようにして僕を寝かせてくれた。

彼女は泣いていた。
自分で思っている以上に僕の体はボロボロで
冷たいのかもしれない。
僕のせいで泣かせてしまった。

「あぁ…泣かないで…僕、君の笑ってる顔が好きなんだ けどな..」

いつものように笑って欲しかった。
せっかく君にまた会えたから。
あぁ、身体が冷えていく。声が上手く出せない…
怖い。
死ぬことよりも、
あなたに会えなくなってしまうのが怖かった。

突然だった。

彼女は僕が持っていた剣を手に取り、
自ら自分の額を切り裂いた。
僕は彼女が何をしたいのか分からなかった。
ぼたぼたと血が流れていた。とても痛そうだ。
しかし彼女は自分の傷を気にすることなく
僕の額の傷に優しくキスをした。
少しくすぐったい。

僕が戸惑っているのが分かったのか、
彼女はふっと微笑んだ。

「これでお揃い。」

「私ね、聞いたことがあるの。負った深い傷は来世痣になって現れるって。きっとこの傷が、次の私たちを導いてくれる。」

「でも…あなたの傷はここだけではないけれど...」

彼女の大胆さに驚いて、少しだけ固まってしまった。

なんだか怯えていたのがバカみたいだ。
もう、怖くなかった。
彼女は僕に印をくれたのだ。
あなたのもとへ 導いてくれる印を。

それにしても大胆すぎるよ。
僕のためにそんなに痛そうな傷を作るなんて。
君のその綺麗な額に…
でも彼女らしくて愛おしくてなんだか笑えてきた。

「はは、なかなかやるねぇ...ごめんね。
でもありがとう。これで来世で君を探せる。
きっと...いつになるかは分からないけど絶対
会いに行くから。」

僕は残っている力で彼女をぎゅっと抱きしめた。
彼女はとても温かい。もう、寒くない。
幸せだ。

あぁ…僕は、本当に心から君を……

「愛しているよ。」


1/15/2025, 3:58:22 PM