霜月 朔(創作)

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視線の先には


そんなに見つめちゃいけないって、
分かってるけど。
俺の視線の先にはいつも、
ある先輩がいる。
つい、目で追ってしまう、憧れの人。

ずっとずっと、先輩に憧れてた。
後輩として、偶に声を掛けて貰える。
それだけで、良かった。
叶わぬ恋だってことは、
初めから分かり切ってるし。

俺がずっと見つめてるなんて、
きっと、先輩は気が付いてないだろう。
皆が憧れる、素敵な人だから。
けど、先輩にとって俺は、
単なる後輩の一人だから。

そして。
俺は気が付いちゃったんだ。
先輩が切なげな笑みを浮かべたとき、
その視線の先には、
ある人がいるってことに。

俺の視線の先には、先輩がいて。
先輩の視線の先には、あの人がいて。

でも、俺には。
想い人の横顔を、静かに眺める先輩を、
遠くから見つめる事しか出来ないんだ。

7/19/2024, 7:34:16 PM