MWの二次創作

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無人島に行くならば


「無人島に行くとしたら、何を持って行く?」
「何、急に」
 呆れる一葉の隣で、唐突な質問を投げかけた敦也はにやにやと笑みを浮かべている。
「俺を連れて行くって言って」
「はあ……何馬鹿なことを……僕が無人島に自ら進んで敦也を連れて行くわけないでしょ」
「マジレスやめて」
 読んでいた本を起き、思考する。
 敦也を連れて行くのは大前提として。一番重要なのはサバイバルナイフだろうか。それで熊やライオンなんかの野生猛獣に勝てるわけもないから、急ぎ狩猟資格を取って猟銃も持って行かないといけない。
 火起こしは大変だからライターに、釣り竿に。僕は味覚がないから不要だけれど、敦也には調味料もいるだろう。
 着替え……テント……だめだ。どう考えても、二日と無人島では生き永らえる自信が無い。
 そもそも、どうして僕は、無人島で敦也と生き延びたいと考えているんだろう。
「……一葉さーん? そんなに真剣に唸るほど考えなくても。ただの雑談なのに」
「敦也は……無人島に行くなら、何を持って行くの?」
「俺は……あー……」
 細い目が更に細められ、眉間にシワが寄る。敦也もうんうん唸り始めた。
「だめだ。なんも思いつかねえ」
「そもそも、なんで急にこんなこと聞いたの。心理テスト?」
「いや。この間週末に久しぶりに無人島開拓のテレビ番組見たんだよ。家建てて、トロッコ作って、船も作ってた」
「本職の大工さん達?」
「見たことないか? 本職はアイドルだった人達なんだ」
「へえ。令和のアイドルって凄いね」
「どっちかってーと平成だけど」
 どちらにせよ、アイドルが何か分からなくなりそうだ。
「敦也は無人島に行きたいの?」
「一葉と一緒なら、行きたくない場所なんてねえよ」
「僕は行きたくないな」
「じゃあ、俺も行きたくない」
 顔を見合せて小さく笑う。
「でも一葉とキャンプには行きたいんだけど」
「管理されてるところなら、安心出来ると思う」
「グランピングでも予約するか」
「寒くなってきたから、来年の春か夏頃にしない?」
「いや、この時期の焚き火が一番最高じゃないか?」
 パチパチと小枝や枯葉が燃える音や自然の温もりを想像してみた。
「……確かに」
「どっか良いとこ探そうぜ」
 敦也がスマホを手に、検索アプリを立ち上げる。
「ねえ、敦也」
「ん?」
「無人島に流されたとしても、敦也と一緒なら、楽しいんじゃないかなって。ふと思って」
「楽しくないわけねえだろ」
 敦也の自信に、心の奥底から暖かくなった。


10/23/2025, 9:57:56 PM