komaikaya

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 いつぶりだろう、こんなふうに星空を眺めるのは。街灯やビルの明かりに邪魔されない夜空は、幼い頃僕を魅了した、昔のままの美しさでそこにあった。

 彼女がそばにいた頃の僕は、まだ星を眺めることを忘れてはいなかった。星図を手に、星に詳しくない彼女に星座の在処(ありか)を教えてあげたり、星や宇宙に携わる仕事がしたいんだ、と将来の夢を聞かせたりもした。

 彼女が僕の元を去った後。所有していた星図の中でも僕が特に気に入っていた一つが、どこにも見当たらなくなっていた。
 彼女は──僕に大事にされなかったことの腹いせに、僕が大事にしていた星図を、僕に黙って持ち去ってみせたのだ。

 彼女と共に『消えた星図』はまだ、彼女の手元にあるのだろうか。もう捨てていてもおかしくはないし、けれど、そんなことより。

 願わくば彼女が、この事態に巻き込まれていませんように──瓦礫の下から星空を眺める僕にはもう、彼女の無事を、祈るように願うことしか出来ない。

 空からとめどなく落ちてきた火に、なす術もなく倒された街灯と崩れ落ちたビルの向こうの夜空は、幼い頃に見たそのまま。こんなにも変わってしまったのは、僕らのほうなのだ。
 

10/16/2025, 1:57:05 PM