雨音

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『ジャングルジム』   No.131



この町に来て数十年。




最初はそこまで長く居座るつもりもなく越してきたマンションを出て、今では四人家族の一軒家まで居場所がある。本当に出会いで人生とは変わるものだ。

蒸し暑さが重くじめじめとした九月前の今日は、公園にもあまり人が居なかった。昔ならちいさな子供らが公園内を元気に走り回っていたのだが、ここ最近は昔ほど見かけない。やはり家でゲームとやらをする時代なのか。時代の変化にまたしみじみ来つつ、あるものに目がいった。
かつて鮮やかな蛍光ブルーが公園の目印になっていたはずの場所には、ボロボロの遊具だけが残されていた。よくみたら、それがジャングルジムであることに気がついた。いつの間にこんなにも褪せてしまったのか。ここに越してきたときの新鮮な色を失い、これもまた今にもちぎれそうなほどに朽ちた黄と黒色のロープでぐるぐると巻かれ、赤い文字で「しようきんし」と平仮名で書かれていた。使用禁止…そうなるのも無理はない。取っ手の部分は錆びて握るだけでも折れそうだ。(実際、手前側の取っ手が1本、大きく斜めに折れ曲がっていた。)

子供の頃、私もよく遊んだものだ。
そういえば、あの時の公園も今はもう土地になったと聞いた気がする…

──時代だなぁ。

9/23/2023, 10:28:48 AM