ジーキャー

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 何も無い小部屋に何を置くか。それは一つの悩みである。
 ただ単に物を収納する。それだけでは無難だとしてもつまらない。
 せっかく空いたスペース。収納する物が無ければ、どうすれば良いのか。活用を考える。
そして、考えて出た結論は隠れ家にすることだった。
 一人暮らしで賃貸アパートのなか、隠れ家を作りたくなっている。それは一つの衝動に近いものがあると言えよう。
 結論が出たなら行動に移すのみ。S字フックにラティスを引っかけ、そこに造花の花や蔦を這わせ、色彩を加える。
照明はランタンで。フローラの消臭剤で良い匂いを。マットを敷き、クッションを置く。
 そうやって出来上がったのが、押し入れと言う小部屋に作られた隠れ家である。
 ただそこに居るだけ。フローラの匂いが満ちる暗闇の中、呼吸するのも良い。ランタンの明かりで書き物をするなどもできる。
マインドフルネスのために使うこともできる。
 そうやって、押し入れの空きスペースに愛情を注ぐようにして作り上げた。それは誰にも邪魔されない。暗闇に愛を注いでいくのもまた一興。
 さて、隠れ家に籠もって、暗闇を味わおう。狭くて暗いものだとしても、それが一つの胎内回帰でもあるのだからーー。

ーー押し入れを使った隠れ家。それは暗くて狭いもの。しかし、ある種の胎内回帰でもあり、心が落ち着く場所でもある。暗さと狭さの融合がもたらすものだとしてもーー。

12/13/2024, 10:04:42 PM