名無しの夜

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お題を見て、息が止まる。


あの子のことが、

あの日のことが、瞼の裏で再生される。


生まれつき、腎臓が弱かった私の猫姫。


初めて出会った日のことから、

最期の時まで——


全部ぜんぶ、記憶に焼き付いている。


もう長くないことは、わかっていたけれど。

でももう少しはと、思ってしまっていた。


そう思い込んでしまうほど、

あの子は、頑張ってくれていた。



心は、魂は一緒と、信じる。

信じていたい。


だけどやっぱり

姿も声もなく、触れ合えないことは、

ただただ、哀しい。


今生最後かもと
心のどこかで思って接したところもあるのに

全然、足りなかった。



永遠なんて、どこにもないから。

約束を、信じる。


この世では、お別れになってしまったけれど。

ずっと心と魂は一緒だと、

あの子に告げた、約束を。

5/20/2024, 8:25:54 AM