「ずっとこの景色が見れたらよかったのにね」 君は涙を流した。 僕たちはこうなるまでにどれだけの時間がかかってしまったのだろう。 最初からこうだったらよかったのに、と君は言いたかったのだ。 僕は羽織の上から君を抱きしめた。 あたりは夜なのに明るい。この村で一番高いところに僕たちはいて、空に最も近づいていた。「ここならお迎えの人たちもすぐにわかりそうだね」 君は微笑んだが、その頬には涙がついて離れなかった。
3/7/2024, 11:38:05 PM