ささほ

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相合傘

相合傘は肩が濡れてしまうから嫌いだと思いながら、道の先を行くきみを見ている。きみと相合傘したことが一度だけある。きみが覚えているかわからないが僕はあのとき雨に濡れたきみの髪が僕の首に貼りついたのを覚えている。今、きみの相合傘の相手が誰かわからない。僕は足を早めて追い抜きながら相合傘のふたりの顔を盗み見る。きみは柔らかく笑っていた。それはいい。相合傘の相手の顔が黒く塗りつぶされた穴のように見えた。それは僕の心のせいなのか、それとも本当に黒い穴のような何かだったのか。

6/19/2024, 10:47:12 AM