雨の日

Open App

まさに運命の出会い
真っ直ぐに私を見つめる、つぶらな瞳
まんまるフォルムの白いボディ

ゲームセンターのクレーンゲーム
ガラスの向こう側で
君は王者の風格で、そこに鎮座していた

「くっ、あとちょっとだったのに!」

出会いから30分
私は未だ思い通りにいかないクレーンの前にいた

あと少しなのだ
一回進めるごとに少しずつ、しかし確実に
あの子はゴールへと近づいている

手のひらを見る
3000円分両替したはずの硬貨はもうない
1つのゲームに賭けるには十分過ぎる額だ

もう諦めなければ
残念だが、これもまた運命
別れの挨拶をとあの子を見つめる

そしてー

あの子のその瞳に見つめられると
私の決心はサラリと消え去り

再び財布へと手が伸びるのであった

3/28/2024, 10:30:05 AM