気分屋の現実逃避日記

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【形のないもの】#56
※BL注意

肺を通り尖らせた口から抜ける白い煙は
細く長く消えていった。

「兄貴、今日も煙草ばっか吸って
 体に悪いっすよー?」

「ストレス解消だっつの。」

気怠げに階段の手すりにもたれかかって
もう一度吸っては深く煙を吐いた。

「そういえば駅前にパフェ屋出来たらしいっすよ?行きません?!」

「食べたいか?」

「食べたいっす!」

金がないと焦っていたところ
珍しく奢ってくれた兄貴は美味しそうに
パフェを頬張っていた。

「甘っ(笑)でも美味いっすね!」

「そうだな。」

(なんだ。
 兄貴も甘いもの好きだったのか〜)

新しい一面を知り
嬉しさが顔に出てしまった。

「お前さ、いつもそう笑ってれば
 可愛いのにな。」

そう言って兄貴は赤面した俺の口についた
クリームを優しい手つきで取った。

「さーせん…!クリームついてたっすか…」

「おう…(笑)」

食べ終わったあと
異常に長い帰り道を二人で歩き
やっと家についた。
今思い返してみると
多分、あのとき
兄貴の顔も赤かった気がする。

9/25/2023, 7:34:53 AM