桜舞い散る 風のカーテンの中
白い肌の美しい少女が一人佇む
その姿に思わず息をのみ、視線を離せなくなった
少女は艶やかな長い髪を風に乗せ
こちらを優しい目で見つめている
後ろを振り返っても誰も居ない
まさか、僕を見ているのか
「桜綺麗ですね」咄嗟に声をかけてしまった
そしたら彼女は頷いて
「いつかは散りゆく運命ですから。」と
見つめる瞳から、儚さを感じた
そのまま去ってしまうような気がした
思わず少女の手を取り見つめたその先は
桜の花舞う。青い空だった
その日を最後に彼女は姿を消した。
翌年
「君と会うのはあの日以来だね。」
「ええ、そうですね。」
「会いたかったよ。ずっと」
「いつかは散りゆく運命だと分かっていても、
会いたい人ができてしまうと
離れる時こんな気持ちになるのですね。」
風が僕の前をそっと横切り
花の香りが僕の唇を優しく撫でた
「また、会いましょう。約束です」
そう言いあの日と同じ目で僕を見つめながら
手を振る君。
「ああ、また会おう。約束だよ」
また来年か、それまでさよなら。僕の初恋
5/7/2023, 10:36:25 AM