【お題:大事にしたい 20240920】
テーブルの上に置かれた、緑の紙とシンプルな指輪。
少しだけ広く感じる、君の荷物のない部屋。
取り残された俺は独り寂しくカップラーメンをすすっている。
出会ったのが5年前、友達の紹介だった。
付き合って半年でプロポーズして、1年後には結婚していた。
同僚からは早すぎる結婚だと言われ、友達からはもっと遊べばいいのにと言われた。
でも、家族に恵まれなかった俺は、安らげる場所が欲しかった。
そして、自分の理想の家庭を作る事に一生懸命だった。
俺はきっと自分の理想を君に押し付けていただけなのかもしれない。
もっと君と話し合うべきだったと、そう思った頃にはもう、君の心は離れていた。
どこで間違えたのだろうか。
どこまで戻れば、元に戻れるのだろうか。
そんなことを考えて眠れない夜を幾度も過ごして、また今日という朝が来る。
一度も俺を批難することなく、君が静かに言った言葉。
『お互い、急ぎすぎたのよ』
何を?
理想を追い求めるのが。
どうして?
曖昧なものを形にするには、経験が足りていなかった。
どうすれば?
さぁ、まだ俺には分からない。
大事にしたい、ただそれだけではダメだった。
お互いの未来を背負えるだけの、努力も覚悟も足りていなかった。
この先の未来でいつか君に話せるように、俺はもう一度前に踏み出す。
今度こそは追い求める理想を現実にして、心安らげる場所で笑いながら生きていると。
━━━━━━━━━
(´-ι_-`) 互いを憎まずに別れる道を選択するのも良い生き方だと思います。
9/21/2024, 1:46:48 AM