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「はいちょっと横しつれーい」

鏡の前でドライヤーを使う私の横に、弟が割り込む。
普段はただただ大きいなと思う図体だが、私と並ぶとより厳つく見えた。

…こんなに似てなかったっけ。

歯ブラシを取るついでに鏡の前で髭と髪の調子を整える弟だったが、かつて兄弟でならんだ時とは全く違う。

弟は仕事を始めてから、表情も何もかも変わった気がする。

私自身も、少しづつ変わっているのだろうか。
髪を乾かしながら、自分では変化の分からない顔をじっと見つめる。

もしかしたら、鏡の中の自分以外に向き合うべきものがあったのかもしれない。
しかしどれだけ考えたところで、鏡の中の自分は返事をしないだろう。

11/3/2023, 11:26:44 AM