ゆじび

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「遠雷」



何年目かの一人暮らし。
雷が近くで聞こえる。
きっと家の真上でなっているんだろう。
家の電気をなるべく消して。
スマホの明かりをつける。
ここまでしなくてもいいのかもしれない。
けれど節約にはなるだろう。

スマホと水道水を入れたコップをもって寝室に行く。
布団にくるまりスマホをいじりだす。
天気予報をみてあとどのくらいで雨がやむのか調べる
まだまだやみそうにない。
今日は雨の音がうるさくて眠れないだろうか。
それとも雨の音が心地よくてよく眠れるだろうか。

こうしていると昔のことを思い出す。
昔は姉と弟と布団に入って怖がる弟をなだめながら
光ってから音がなるまでの時間を数えていたっけ。
消えつつも私の大切な思い出。

こうして生きていくと雷が鳴る夜だってたくさん経験していくんだろう。
いつかは電気をつけたままにできるほど強くなれるのだろうか。
誰かと乗り越える雷があるのだろうか。

雷が遠退くようにいつかは思い出もなくなるかもしれない。
けれどまた雷のように何度も蘇ってくるんだろうな。



だから今日もただ雷が過ぎていくのを待つ。

8/24/2025, 9:47:36 AM