とうか

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時空の旅

蒸気機関車の音が頭上を駆け巡り、工場の歯車の音が街に響き渡る。街一帯が大きな建物のよう。今日もスチーム街は賑やかだ。
私は修理に出したお気に入りの懐中時計を取りにいくため、朝早く家を出た。家の目の前の橋から下の工場地帯を見下ろすと、見覚えのある姿があった。あのリュックはきっとギアおじさんだ。ベイおばさんも一緒にいた。橋の階段を駆け下りて、声をかける。
「あれ、おじさん、おばさん帰ってたの?おかえりなさい」
「あら、こんにちは」
「久しぶりだなベイパー。1ヶ月ぶりかね」
「おじさん、その2倍会ってないと思うよ」
「ああそんなにか。すまんな、時空を超えて旅をしてると感覚が狂ってくる」
おじさんとおばさんは時空探検家。おじさん自ら作ったタイムマシンで旅をしている。出身はこの時代ではないけど、おじさん曰く1番過ごしやすいんだそう。
「そうだ、ベイパーこれをあげよう」
お土産話をされながらお土産の品をたくさん貰った。
「おやおやもう時間か。この時代の別の場所に行ってくるよ。街には夜頃戻るかな。では」
「はあい、行ってらっしゃい」

彼女が、今目の前で話している人物が未来からやってきた自分とその夫であると知るのは、彼女が2人と同じ年齢になった時である。

1/22/2023, 12:54:38 PM