『風邪』
いけない、風邪をひいた。
絶対あいつに、馬鹿でも風邪ってひくんだなって言われる。風邪をうつしたくないのに、わざわざ近づいてきて煽るだろう。色々な意味でストレスだ。
いっそのこと、学校を休んでしまおうか。
いや、そんなことは。
私は少し体をふらつかせながら、学校に行った。別に熱があるわけじゃない。ちょっと頭が痛くて、ぼうっとするだけだ。あ、咳も少し出る。病人みたいな姿をしてるけど、元気なフリをする。誰かに、なんか今日いつもより元気ないねって言われても、寝不足なんて言えば納得してくれるだろう。だから、寝てるフリなんてすればもっとそれらしい。そうしていればいい。本当にこれが正しいと思った。
「はは、調子悪そ〜」
「……」
来た、ヤツだ。
「頭痛いのかなー?」
「……うるさい。……なんで体調悪いってわかったの」
「明らかに体調不良だろ。帰ればいいのに」
「やだね」
あなたとお話をして、一緒に帰るのを楽しみにしてるから、なんて絶対に言いたくない。
「あーそうですか!…ま、無理すんなよ」
「もちろん」
あなたは、こういうときだけ優しい。普段は、優しさの欠片くらいしかないのに。ある意味、あなたは残酷だ。私はきっと、その温度差で風邪をひいたんだ。それなら、この風邪をうつしてやった方が、私の想いも伝わるんだろうか。
12/16/2024, 3:42:37 PM