一面の花畑を踏みしめて進む。春らしい青空はやさしい色で、素朴な白い蝶があたりを舞い、一陣の風が吹いた。あのひとがこちらを振り向く。色とりどりの花たちが揺れる。差し出された手は白く、こちらに微笑むその表情はやわらかい。夢のような景色。だから夢なのだと。ああ、せめて覚める前に――伸ばした手は掴まれることなく、私は瞼を開いた。 ――モンシロチョウ
5/11/2024, 4:19:26 AM