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#閉ざされた日記


――戻らない日々を想う――

埃を被った、一冊の本が見つかった。

「こう言うのは、住処を変えた時に捨てたハズだが…捨て忘れか?」

無意識か、そう呟きつつ
彼はおもむろにページを捲った。

…散乱した物から、目を背けている様にも見えるが

「うっわ懐かし…いやこんなん書いてたっけな…?」

眉を顰める彼の目線には、日付から始まる文面が綴られていた。

何文も書いているページから、一言しか書いていないページ等が、書きなぐった様な字で並んでいる。

「つかここ、字汚過ぎて読めないんだが…あ、ここ落書きされてんじゃねぇか!」

所々綺麗な字や達筆な字、宇宙人らしきイラストがかかれているページもある。

まるで誰かに話しているように、リアクション多めで話しているが、その顔は何処か柔らかい。

「……よく続けてたなぁ…俺」

三日坊主で飽きてそうなもんなのに
と、自虐的に笑いつつ、捲る度に増えている落書きやらを眺める

「………捨て忘れじゃなかったのか」

それだけ言って、彼は読み終えた本を戻した
…勿論ゴミ袋ではなく、戸棚の中に入っている箱の中へ。

そのままぼーっと数分、窓の外を見詰めていると。
下の階から、帰ってきたであろう彼の同居人達の声が聞こえてきた。

「………………あっやべ!」

そこで漸く周りの散乱っぷりを再認識し、いそいそと戸棚に突っ込んだり、ゴミ袋に詰めていく。
片付ける前とそこまで変わったか?と見た者に言われそうな状態ではあるが、今は目を瞑っておこう。

…結局、あの閉じられた日記の中身は、彼と、昔の記憶に居る彼らしか分からない。

ただ分かるのは、閉じた記憶が、彼にとって良いものだったと言うことだけであった








「ただいま〜ってちょっと!!なんですかこれ!!
「私達が出たあとからほとんど変わってないね」
「いっいやー、思い出に浸ってたら、つい…」
「つい…じゃないですよ!!まったく…ほら、片付け直しますよ」
「え〜しまったんだからいいだろ」
「良くないんです!!」

1/18/2026, 12:10:54 PM