いぶし銅

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I LOVE…

私はですね、私は、自分が、この私が、好きでいるものさえ、疑ってしまう性分にありまして、それは、読んで字のごとく、私の性にありまして、私は親から、愛を受けたものの、この世界に対する、信頼のしかたを、その重要なプロセスを、どうにも教えて貰えなかったもんでして、毎日、毎時毎分毎秒、疑って参った所存でありまして、それと私は、生まれながらにして、コミカルな立ち回りを、使ってこねばならなかったわけで、私の口から出る言葉なぞ、十二分に笑ってもらって構いませんが、私が私を疑うことも、好きなことを疑うことも、今現在、あなたのことを疑っていることも、全て真実でありまして、それに就いて、困っているだとか、緊張感のある話にするつもりはありませんが、ご理解の上、喋らせていただいたいのです。
私が田舎の町を出たとき、いや、それは遡り過ぎているので、もう少し近頃の、会社で働いていた時のこと、私は今のように、訛っていて、田舎者が節々から感じられる訳ですから、それがどうにも可笑しいらしく、同僚には笑われてきたのですが、確かその頃から、私はロックンロールを聞くのを辞めました。
それは別に、同僚のせいだとか、意思の弱い私のせいだとか、言いたいわけでもなくて、私は元来、平和主義でありますから、犯人探しが目的な訳ではなくて、私が真に言いたいのは、私がロックンロールを聞くのを辞めたのは、その曲に、私の悪いイメージが着いてしまうような気がして、私が好きだったロックンロールまで、私のようになってしまう気がして、聞くのを辞めたんです。
ただこれも、今に始まった話じゃなくて、先程も申しましたが、田舎っぺだなんだと、笑われてきましたから、好きなものは、隠すべきものだと、学んでいたもんですが、この件に関しては、ロックンロールを聞くのを辞めた時、今までの、狭い家ん中で、たっくさんジャンプして、たっくさん頭を振ってた時の自分を、否定しているような気分になりまして、それがなんだか、いや、おおきなとっかかりでは無いのですが、喉に刺さった、魚の骨みたいに、時々私を傷つけるんです。
でも、悪いなんか言いたいんじゃないんです。
一緒にジャンプして、信じてみたかったんです。

1/29/2026, 12:53:32 PM