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「…あ?」
ここは、何処だ。確か、さっき病院内を歩いていたはず。
それだというのに、多分ここは病床の上。
「なにこれ…」
気怠い体を起こして、周りを見渡す前に目に入ったのは、自分の腕に繋がれている沢山の点滴。
痛くはないけれど、点滴を繋がれた経験はないから驚いた。
「てか、ここ普通のとこじゃなくね…?」
驚くのもそこそこに、ようやく周りを見渡すと、そこは普通の病室ではなかった。集中治療室、ではないが、それなりに拘束具やベルトなどが置いてある部屋。
見れば見るほど恐ろしく、不気味でたまらない部屋だが、何故自分がここに寝かされているのか、不思議で仕方ない。
「あ!ようやく起きましたか」
ガチャ、という音を立てて部屋に入ってきたのは、長い髪の毛で片目を隠しているターコイズブルーの目をした男。
こいつも不気味で気持ちが悪い。
「お前、誰」
警戒心マックスでそう告げると、男は持っていたカルテを近くの机に置いて、隣に置かれていた注射器らしきものを手に取った。
「まあまあ、そんなに警戒しなくても、危害は加えませんよ」
「ここに拘束してる時点で、お前危害加えてるようなものだろうが」
「…それもそうですか」
キラキラと輝かせていた男は、一瞬で目の輝きを消した。
そして、そのまま近づいてきて、点滴袋にそれを刺した。
「…頑張りましょうね」
「クソが…」
あぁ、次目覚めるのは夜明けになるのかな。

4/28/2025, 11:08:13 AM