ホシツキ@フィクション

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「秋は恋をすることが多いんだって。」
とある女子校の昼休み、友人が私の前の席の椅子に座りこちらを向く。
どうして?と言わんばかりの顔だ。
「ほら、クリスマスが近くなるからじゃない?」
「なるほど!確かに!」

目からウロコだと言うふうにオーバーリアクションをする。
そんな私たち2人組はそろって彼氏がいない。
「私らには関係ない話だなあ〜っ」と言いお弁当箱を開け、食べ始めた。

――とは言っても彼氏いない歴=年齢の私と違って、彼女は恋愛体質だ。しかもダメ男ばかりと付き合っている。そしてすぐ捨てられている。

「秋に付き合った人とは長続きしやすいんだって」
そういえば、というふうに私が言うと、彼女は食いついた。

「そっか!クリスマスの他にも初詣にバレンタインにホワイトデー、カップルイベント目白押しだもんね!」
「まああんたの場合バレンタイン終わったらフラれそうだけど?」
とからかうと友人はぷぅっと分かりやすく不貞腐れる。でも反論はしない。図星だからだ。

「まぁ今好きな人すらいないし、関係ないもん〜」
そう言って友人はほうれん草のおひたしを食べる。

私も焼きそばパンの袋を開けて1口食べた。

「今日お弁当忘れたの?」
「うん、だから朝コンビニで買ってきた。」
「私の卵焼き、あげる!」
彼女は半ば無理やり私の口に卵焼きを突っ込んできた。
「―――っ!」


『間接キス……!!』


私は口の中で卵焼きを噛みながら、どんどん出てくる唾液と絡ませ飲み込んだ。

“ 秋の恋は長続きする ”

『……私なら、絶対に傷つけないしずっとそばにいるよ』

その言葉を飲み込んで、私は口の中にのこるほんのり甘い卵焼きの風味を消すように、焼きそばパンを大きく1口食べた。

『でも、秋に付き合いたいな』




秋は始まったばかりだ。


【秋恋】~完~



恋愛の形も性別も、人それぞれですね。
皆様いつも♡︎ありがとうございます。
昨日♡︎多くてびっくりです。昨日だけで♡︎21!🎉感謝感謝(*´ω`人)これからも頑張ります。
まだの方お時間お手隙ありましたら見てって下さいませm(_ _)m

9/21/2022, 12:50:53 PM