先生と二人きり、図書室で読書感想文の直しを続ける
「これ、食べる?皆には内緒ね」
と飴を2つくれた。
「ありがとうございます」
先生が飴をくれた事と『皆には内緒』という言葉がちょっとした優越感で嬉しかった。
読書感想文に選んだ本は
『世界の終わりに君と』
夏休みの間中ページが擦れるほど夢中になって繰り返し読んだ。
この読書感想文が地域の新聞の賞を取ったので、今度は先生の勧めでもっと大きな読書感想文コンクールへ応募してみることになったのだ。
「こんな時間まで頑張らせてごめんね」
「実は先生も、あなたと同じ歳の頃にこの本を読んだのよ…」
その言葉で、先生もこの本が好きなんだな、と思った。
けど先生はもう大人だから読書感想文は書かない?書いても出すコンクリールがないのかな?
そして何度も直して完成した読書感想文はコンクールで何かの賞をとった。
賞状と図書カードの賞品をもらったことも嬉しかったけど賞を喜んでくれた先生の笑顔が嬉しかった。
先生あのね、あの感想文に書いたことは本心じゃなかったよ。
こう書いたら大人が好きだろうなと思う言葉を並べただけ。
『世界の終わりに君と』は本当に本当に大好きな本だったから本当の感想は私だけのものにしたかったんだ。
お題 「世界の終わりに君と」
6/7/2024, 10:46:51 AM