娘が一人、ベッドで寝息を立てている。更けきった夜の闇に仄かに灯るぼんぼりの明かりが、室内をぼんやりと照らし出す。ベッドの傍ら、カーペットに腰を下ろす男が居た。男は娘を見上げながら、頬杖を付いて娘を眺めている。ベッドのかけ布団の下から、赤い紐状のものが伸びている。それは時折微かに蠢いている。そして何よりその赤い紐は、今まさに娘の傍に居座っている男の背に繋がっているのだ。
数分前、男はこっそり娘の部屋に忍び込んだ。娘が既に眠っていることを見越した上で、男は息を殺して娘の寝床に近寄った。そして、身を屈めて娘の寝顔を確認すると、男はそっと立ち膝になり、後身頃の下から音もなく赤い触手を伸ばし始めた。男にはある時から不思議な能力が備わっていた。それは、触手を使って相手の身体から「ホルモン」を吸い取るというものだった。ホルモンとはもちろん、人間の体内で作られる分泌成分だが、それは謂わば「若さのエネルギー」そのものである。 男はそれを他人から吸い取ることでいくらかの若さを補充出来るのである。とはいえ男自身はそこまで若さに執着があるわけではなく、誰彼見境なく若さを奪い取るようなこともしない。あくまでも彼がホルモンを分けて貰うとすれば、気に入った女性からほんの少し齧る程度である。そしてそれは女性の比較的敏感なところの方が吸い出しやすい。
男は娘を特別好いているわけではなかったが、自身に心を許してくれる最も身近な存在であった。
男の触手がベッドの中に侵入し、娘の下着の内側に入り込んだとき、触手はゆっくりと娘の身体を這いずって胸の上に乗った。娘の胸はほとんど膨らみが無く、乳首は沈んでいた。男は少しため息をつきながら、触手の先で軽く乳首をつついたり撫でたりした。やがて乳首が起き上がり、触手の先が花開くと、そっと乳首を包み込んだ。時間をかけて少しずつ、じっくりと娘の「女の素」を吸い取る。それからしばらくの間、男の触手は娘のホルモンを少しばかり頂戴していた。娘はこの頃感情の起伏が激しいことが多々あり、それがホルモンの分泌によるものだと知った男は、どうせならと娘の溢れ出るホルモンを余分な分だけ貰ってしまおうと思い付いたのだった。娘は気づかずすやすやと眠っている。男はそんな娘の寝顔を傍で眺めながら、自身の身体に流れ込む温かなものを感じていた。
#赤い糸
6/30/2023, 1:51:53 PM