鴨居

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ぬるくなった湯船の中で力を抜いた。少しずつ浮かぶ手足を見て薄笑い、私を失くした後の残骸はさぞかし軽いのだろう。肺の動きを小さくして、腹の底の全てを吐き出したら、それは、それは。
21グラム。哀しみと憎しみと、薄い期待と愛が詰まった重さがたったのこれだけ。持って逝けるこれが私の全て。なんて無情な事だろう。
来世、また私が私に還ったらあの向日葵の海へ行こう。何駅も渡って、次こそは。

7/3/2025, 1:39:18 PM