未だ嫁修行

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【正直】

嫁いでまもない頃、少し認知症気味の(当時は惚けと言っていたが)義祖母に姑が本当に汚い言葉で罵っていたとき、見かねた義弟が
「そんなに言わなくても良いんじゃないか!」
と言ったら、姑が
「バカにバカって言ってどこが悪い、本当のことを言ってどこが悪い!」と言い返した。
この家は本当のことなら何を言っても良い家なのだとそのとき実感した。
まさしく姑は思ったことを正直に、あるいは人が言ったことをそのままストレートに何でも私に伝えた。挙げ句の果てに、私は悪気がないから、気にする方が悪い、と言う始末。
しかし私は本当のことなら何でも言って良いとは思ってなかったし、言える性格でもなかった。そういう意味の正直さを良いこととは思っていなかった。

正直とは何だろうか?
子どもが何かしたとき、正直に言いなさいと親や周りの大人は言うだろう。それは大事なことなのは間違いない。けれど人を傷つけるような正直な言動はどうなのだろうかと思う。またそういうことを正直さ、と言えるのかどうかも疑問に思う。

姑の場合、正直に言う、行動する、ということの前に[自分の気持ちに]という言葉が入っているのだ。普通の人はさらにそこに[人への思いやり、想像力]が入り、自分の気持ちと人への思いやり、こんなことを言ったら相手はどう思うか?という想像力を天秤にかけ、普通は後者を選び、自分の気持ちを押さえるのではないかと思う。
時にそれはストレスになる。自分が感じたことをそのまま言えない、あるいは言うことを我慢する、行動もしかりである。それは自分の意思を押さえることなので精神的には負担になることもあるだろう。

そう思うと姑にはストレスがないことが良くわかる。その分周りの人はストレスを感じてしまう。しかし姑はそんなことにも気づかず平和に暮らせる。

なんだか正直に言った者勝ち、やった者勝ちに思えてきて泣けてくる。姑の真似をして姑に言いたい放題正直に何でも言ってみようか、でも自分の理性がそれを許さず、言ったら言ったで悩んでしまうかもしれない。つまり私は姑の真似はできないのだ。結局、私はそういう気持ちの狭間でストレスを感じながら心をやりくりしながら今日も生きている。

(書いてる間にお題が更新されてしまった💦)

#19

6/3/2023, 10:09:18 AM