8. 花咲いて
祖父母宅のトイレの壁には、知っている限りずっと変わらず1枚のカレンダーが貼ってある。2006年のカレンダー。自分が生まれた年だ。書道家が各月に一言書いているもので、やはり生まれた月の言葉は目に留まる。
笑顔の種蒔けば、〇〇の花が咲く
漢字二文字が思い出せない。それがこのお題を見たときのことだった。
翌日から体調を崩し、数日間の多くの時間を布団の中で過ごした。そのときに思い出したのだ。
笑顔の種蒔けば、健康の花が咲く
このお題は「花咲いて」だった。花が咲いたら種ができて、また土に蒔かれる。
私は今まで、あれは健康に重きを置いた言葉だと思っていた。
今まで、健康を目指しては適切な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠が出来ないと自分を責めてしまうこともあった。
しかし、今思い返せば、健康は花であり、すなわち過程なのだ。ゴールは笑顔や幸福なのに、それを忘れていた。
私がするべきことは、種蒔きだった。笑顔でいれば、健康は付いてくる。そしてまた笑顔がもたらされる。意外で、しかし優しいメッセージだ。
祖父母が18年も遅れたカレンダーを依然貼り続けている訳が少し分かった気がした。
7/23/2024, 3:59:52 PM