りくのいるか

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変わらないものはない

コロナになってしまった兄がゲホゲホと咳き込み隣で寝込んでいる。

貧乏な古い木造の家に、安全な部屋は1つしか無いのだ。

昔、資格を取ったアロマの知識で
抗ウィルス作用がありそうなティートゥリーとラベンダーのエッセンシャルオイルをティッシュに垂らしてはみたが、

半ば諦めて、兄と同じ部屋にいる。

昔は仲が良かったのに、私が幼稚園児の時はかっこいい高校生だった兄

自転車の後ろに私を乗せて名画座に映画3本立てに連れて行ってくれたり、

ミスタードーナツのフレンチクルーラーの中が半生のような感じの罪深い美味しさを教えてくれたり

インスタントじゃないキリマンジャロのコーヒーをいれて、本物の美味しさを教えてくれたり

世にある美味しい食べ物は、ことごとく、兄に教えてもらった。

兄は私がブヒブヒと喜ぶので、セッセと餌を与えてくれた……。

子豚を飼っているつもりだったのか……

言うなれば、デブの育ての親である兄。

こんなことになるなんて。

母の介護で仲違いするまでは仲良しだったのに……。

母は兄にベタベタに甘い。

小さい頃の兄の写真を特別な場所に隠し持ち

「色白で天然パーマで女の子みたいに可愛かった。本物の天使みたいだった。」

と、目をハートにして今でも言う。

母は私の前では認知症のようになるのに、兄の前ではしっかりしているのだ

私が母をいじめていると兄は思っているらしい。

母が高齢者な上に車椅子になったとたんに、大学病院の循環器内科を追い出されてしまった。

なるべく近所で優しい先生をやっと探して2回目の診察直後に

兄がコロナだったので濃厚接触者になってしまったので、検査になってしまった。

「濃厚接触者は公共機関を使わないでください。タクシーもダメです。」

私が1時間近くかけて2つの山と谷を越えて急いでお医者さんに連れて行く羽目になった。

母も凄ーく太っているので、坂が辛い。
ハァハァ言って必死に急いでいる前で母は当然のようにすましている。

時々、憎たらしい文句を言うので、その怒りでエンジンを爆発させて無理やり頑張って車椅子を押したが

40分で着く予定が10分以上遅刻してしまった。

お医者さんのお家の裏の綺麗なお庭に

濃厚接触者用の特設テントがあった。

中にストーブが4つも置いてある
下は玉砂利で外では色々な鳥が綺麗な声で楽しげにさえずっている。

昔は山だった土地なのでキャンプしてるみたいで悪くなかった。

ただ、凄く疲れてしまった……。

熱も無いのに汗だくである。
筋肉痛で体中痛い。

疲労と老化で目がかすむ。
よれよれになってパソコンを付けたらScanning and repairring drive

再起動しますか?

再起動します。

のまま……1時間経過。

なんと!パソコン壊れたの?!このタイミングで?

ぎゃあああ

万事休す。

シンクロニシティってやつである。

たぶん、母も私もコロナ陽性だと思う。

12/27/2022, 11:15:48 AM