sairo

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くしゅん。
小さなくしゃみと共に、毛が逆立った。

「そろそろ寒くなってきたからね」

くすくすと彼女は笑いながら、四本の尾で体を包まれる。
暖かい。逆立つ毛を丁寧に毛繕いしてくれる神使の姿の彼女は、白くてきらきらしていて、とても綺麗だった。

「さて、今度はどんな物語が聞きたい?それとも遊びに行こうか」

柔らかな彼女の声と毛繕いの気持ち良さに目が細まる。
次は何をしようか。そう考えて、ふと気になっていたことが口から溢れ落ちた。

「神使のことについて知りたいな」

神使とは、ただの役割だと彼女は言った。お役目を持った長くを生きた狐。それが自分なのだと。

「そうだねぇ。神様のお使いがほとんどかな。人間からのお願い事は、私は専門外だったし」

聞きたい?そう聞かれて、頷いた。
彼女のことが知りたい。秘密を知って前よりも仲良くなれて、なのにさらにもっとと欲しくなる。
我が儘だろうか。そう思うが、彼女の尾が優しく背を撫でて、思わず甘えるように擦り寄った。

「じゃあ、特別に教えてあげる。昔々――」

そう言って物語を語るように、彼女はゆっくりと語り出した。

12/2/2025, 9:49:58 AM