整脈と不整脈と

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コートの中で肩をすぼめる。
駅までの道がやけに長く感じる。
けどちょっぴりそれがうれしい。
手袋を忘れたことを、今さら思い出す。

息を吐くたび、白くなる。
ちゃんと生きてる証拠みたいで、
ちょっとだけ安心する。
でもわたしの指先は正直で、
寒いねって言ってる。

さみしいね、って言えばいいのに。
わたしは言わない、恥ずかしいから。
代わりに歩幅を合わせる、何も言わずに。
少しあったかいんだ、それだけでね。

まるで寒さは気づいてほしいように
黙ってくっついてくる、わたしみたいに。
手を繋ぐほどでもないし、
抱きしめるほどでもないくらいに。

いつも通りなんにもせずに家に着いて、
コートを脱いで毛布にくるまる。
中はふわふわで、さっきまでの寒さが
嘘みたいに遠くなっていく。

あの手があれば、
もっと温かいのかなって思う。
まだ寒さが身に染みて、
でも思い出して鼓動がはやくなって
おかげで温かくなった。

1/11/2026, 1:15:44 PM