「さよなら」を言い合える関係は月よりも美しい。
「さようなら」では僅かに丁寧すぎる。
「ばいばい」や「じゃあね」では軽すぎる。
いずれも、人生において欠かせぬ存在ではあるが、比類ない存在というには何かが欠けている。
それゆえ私は自分の人生において比類ない人物にのみ別れの挨拶として「さよなら」を用いる事にしている。
それは。私の人生を思い浮かべると概して恋人と言える人物であった。大概の女は初めこそ不思議に思うが、次第にその言葉も日常の一部となり、溶け込んでゆく。ただ一人の女は「さよならはダメ。またねがいい。」と言った個人的には「またね」など全く好まないがその言葉を口にした時の彼女の表情が妙にあどけなく、そして可憐だったたので「またね」と言うようになった。
彼女とは喧嘩もせず、ただ無言のうちに別れは訪れた。そして、彼女こそ私が「さよなら」を言うべき相手だったのかもしれないと、一人文章を書き殴った。
12/3/2024, 12:30:57 PM