街/
心に街を作るのか。
それとも町を作るのか。
自分がどっちであれ、
違うまちに触れた時、
共感は出来ずとも理解していけたなら
地球と言う名のまちは繁栄していくのではないだろうか。
今日も町はあたたかく緩やかに朝を迎える。
今日も街は厳しくも活気に溢れ朝を迎える。
好き嫌い/
君の好きな歌を口ずさむ
君が好きだって言ってた映画を観る
君の口癖を真似る
君の仕草がうつる
君と歩幅を合わす
君の目線の先を追う
どこかでわかってた
卒業間近、
君はあいつが好きな歌を口ずさんで
マフラーに顔をうずめながら
頬を赤らめて笑った
あぁ、
もう君の歌も映画も口癖も仕草も
全部全部大嫌いだ
後ろを振り返った君は
キョトンと不思議顔をしている
僕は君を見ていることができなくて
目線をゆらゆらと歪んだ地面に落とし
乾いた地面を濡らしてゆく
君は僕の近くに来て
大丈夫?と小動物みたいな目で見つめてくる
あぁ、だめだ
この手で君を抱きしめられたのなら
僕は力なく垂れ下がった両手に力を込めるしかなかった
あじさい/
移り気なあなたに送るには
ぴったりなお花ね。
あなたはどこまで辛抱強くいられるかしら。
わたしは冷酷な女だもの。
昔のわたしはピンク色の紫陽花だったけれど。
今はもう青くなってしまった。
あなたがわたしを変えてしまったの。
だけど何故かしら。
この時期になると無性にあじさいが
見たくなるの。
ポツリと降る雨の中、
顔を隠すように傘をさし
そっとあじさいを見にでかけるの。
辛抱強いのはわたしの方かもしれないわね。
今年もあなたのお墓には
あじさいの花を置いていきます。
ほんの少しの憎しみと愛情を込めて。
6/11/2024, 12:44:05 PM