雨と君
静かに雨が降る。
雨音だけが響く夜更け。
君の元を尋ねる。
君は悲しげな瞳で、
私に微笑みかけてくれるから。
私は作り物の笑顔で、
微笑み返す。
君に手を伸ばす。
君は確かに此処に居るのに、
君の心は罅割れだらけ。
何処か掴み所がなくて、
まるで雨の様に指の隙間から、
零れ落ちていくんだ。
君の心の中に、
私は居るのかな?
せめて、この夜の一時、
君の心の隙間に居られたら、
それで満足だから。
君の温もりは、
静かな雨のように優しくて。
でも、君の瞳には、
雨の雫が浮かんで消える。
雨と君。
夜が明け、雲が晴れたら、
触れる事は叶わないから。
…だから、今だけは
私の隣に居て欲しい。
9/8/2025, 7:53:47 AM